こんにちは。新潟市中央区弁天橋通のかんだ整骨院 の神田です。
「よし、今日もレッグプレスでしっかり追い込んだぞ!」
トレーニング後のこの充実感、最高ですよね。でも、その直後に腰に感じる「あれ?なんか違和感…」というサイン、もしかしてあなたも経験ありませんか?そしてその違和感が、だんだんと「痛み」に変わってきてはいませんか?
今回は、実際に当院に来られた患者さんのケースを交えながら、レッグプレス後に腰痛が起きるメカニズムと、その改善策についてお話ししたいと思います。
「2ヶ月で腰が…」デスクワークとレッグプレスの落とし穴
Aさん(30代男性)も、まさにレッグプレス後の腰痛に悩んでいました。
Aさんは、普段デスクワークで座っている時間が長く、運動不足解消のために2ヶ月前から週2回のペースでスポーツジムに通い始めたそうです。コーチにメニューを組んで貰って、レッグプレスも積極的に取り入れていました。
しかし、トレーニングを始めて1ヶ月ほど経った頃から、レッグプレス後に腰に軽い違和感を感じ始め、それが徐々に痛みに変わっていったとのこと。
Aさんの姿勢を拝見すると、いわゆる**「スウェイバック(猫背で腰が反り、骨盤が前に出ているような姿勢)」**と呼ばれる体の歪みが見られました。
また、ハムストリングス(太ももの裏の筋肉)が非常に硬く、股関節の曲がり方も窮屈そうでした。

これらは、レッグプレスで腰に負担がかかりやすくなる典型的な要因が揃っていたのです。
なぜレッグプレスで腰を痛めてしまうのか?

レッグプレスは下半身を効率よく鍛えられる素晴らしいマシンですが、使い方を間違えると腰に大きな負担をかけてしまうことがあります。Aさんのケースを踏まえ、主な原因をいくつかご紹介します。
1. 骨盤の後傾(バットウィンク)と腰椎への過度な負担
レッグプレスで一番注意したいのが、**「骨盤の後傾(こうけい)」**です。これは、重りを下ろす最下点で、お尻がシートから浮いてしまう現象のこと。
Aさんのようにハムストリングスが硬かったり、普段から座りっぱなしで股関節の柔軟性が低いと、深くしゃがみ込もうとした際に股関節の動きが制限され、代わりに腰椎(腰の骨)が強制的に丸まってしまいます。
この状態で高重量の負荷がかかると、腰椎の椎間板が後ろに押し出されやすくなり、ヘルニアのリスクを高めることが、世界的な腰痛研究者であるマクギル博士も指摘しています。
Aさんのようにスウェイバックの姿勢の方は、もともと腰椎に負担がかかりやすい傾向があるため、より注意が必要です。
レッグプレスは下半身を効率よく鍛えられる素晴らしいマシンですが、使い方を間違えると腰に大きな負担をかけてしまうことがあります。Aさんのケースを踏まえ、主な原因をいくつかご紹介します。
2. 高重量による椎間板の「圧縮」
45度傾斜のレッグプレスは、水平タイプと比べてより高重量を扱えるのが魅力です。しかし、その分、**腰椎への圧縮力も非常に大きくなります。
**研究によっては、レッグプレスで腰椎に約7〜9 kN(キロニュートン)もの圧縮力がかかった例も報告されています。
ウォームアップ不足や、呼吸を止めて力むことで腹圧が抜けたりすると、この圧縮力がダイレクトに腰椎や椎間板に伝わり、微細な損傷や炎症を引き起こすリスクが高まります。
3. 体幹ブレース(腹圧)不足
トレーニング中に「フンッ!」と力む時に、お腹にしっかり力を入れて**体幹を安定させる「腹圧ブレース」**ができていますか?
腹圧が抜けてしまうと、脊柱を支える力が弱まり、腰椎に**「剪断応力(ずれる力)」**がかかりやすくなります。特に、重りを押し切った頂点で息を抜いてしまうと、急激に負荷の分散が崩れてしまい、腰に負担がかかりやすくなります。
このような腰痛に対してかんだ整骨院の治療は?
Aさんは、太ももの後ろ(ハムストリング筋)の硬さと股関節を外に開くお尻の筋肉(中殿筋)の弱さがありました。それが一つの原因で、体が歪んでしまい腰痛に。また普段からのデスクワークで歪みを大きくしてしまっていたと推測されます。
当院では体の歪みを整え、トレーニング時の注意点をお話しさせていただきました。
治療後は、歪んでいた体も整い腰痛も軽減されました。


今すぐできる!レッグプレス腰痛改善チェックリスト
Aさんにも実践していただいた、すぐに試せる改善策をご紹介します。
- シート深さと背もたれ角度の再調整
- 膝と股関節が約90度になる位置から始め、深く曲げても骨盤がお尻パッドから浮かない範囲に可動域を限定しましょう。
- 足板のセット位置を見直す
- 足をやや高め、肩幅より広めに置くと、股関節の屈曲が緩和され、骨盤の後傾を防ぎやすくなります。
- 腹圧ブレースの意識
- 動作中は軽くお腹を固めるような「バルサルバ法(息を軽く止めてお腹に力を入れる)」、もしくは**「吸って下ろす→止めて押す」**のリズムで体幹をしっかり固定しましょう。
- 重量と可動域を段階的に
- 少しでも腰に違和感が出たら、すぐに半分以下の重量に落とし、可動域も浅めに設定してください。痛みが完全に消えるまで焦らず、正しいフォームの再構築に集中しましょう。
- 補助エクササイズを取り入れる
- ハムストリングスや臀筋のストレッチを日常的に行い、柔軟性を高めましょう。また、**ヒップヒンジ(股関節を曲げる動作)**など、体幹を安定させるドリルも有効です。Aさんのようにハムストリングスが硬い方には特に重要です。
- 代替種目を検討する
- 腰に負担がかかる場合は、一時的にベルトスクワットやスプリットスクワット、あるいは水平タイプのレッグプレスなど、脊柱の屈曲が起こりにくい種目に切り替えて、腰の回復を待つのも賢明な選択です。
大切なのは「気づき」と「早期対応」
Aさんの腰痛は、上記の改善策と、当院での姿勢改善・筋肉の柔軟性向上を目的とした治療を組み合わせることで、順調に回復に向かっています。
レッグプレス後の腰痛は、「骨盤傾斜+高圧縮荷重」が主な原因であることがほとんどです。フォーム(骨盤がシートから離れないか)、重量設定、シート調整、そして体幹ブレースを見直すことで、多くの場合改善が見込めます。
せっかく始めたトレーニングを安全に、そして効率的に続けるためにも、今回お伝えしたポイントをぜひご自身のトレーニングでチェックしてみてくださいね。
しかし、もし痛みが続く場合や、足に痺れ(しびれ)が出るような場合は、椎間板や神経根が関与している可能性も考えられます。その際は、一人で抱え込まず、国家資格のある整形外科や我々のような専門家へご相談ください。
また、かんだ整骨院ではトレーニング等の腰痛や、デスクワーク・家事・趣味のスポーツでお困りの腰痛について治療を行っております。
遠慮なくご相談くださいませ。
【監修:柔道整復師 神田博行】