こんにちは。新潟市中央区弁天橋通のかんだ整骨院、院長の神田です。
「立ち上がりや歩くと股関節が痛い」ことでお困りではありませんか。50代の女性からは、朝いちばんの一歩目で股関節の前や鼠径部がズキッとする、買い物帰りや階段の上りで重だるさが出る、台所での立ち仕事のあとにジーンとこわばる――といったご相談をよくいただきます。
毎日の家事やお仕事の合間、痛みを抱えながら本当におつかれさまです。ここでは、できるだけ専門語を避けて、原因とメカニズム、よくある誤解、自分でできる対処法をまとめました。いわゆる「股関節変形(変形性股関節症)」に不安を感じている方にも役立つよう、一般的な考え方としてお伝えします(診断は医療機関での評価が必要です)。
原因とメカニズム
「立ち上がりや歩くと股関節が痛い」背景には、いくつかの要素が重なっていることが多いと考えられます。
1) こわばりと筋のアンバランス
長時間の座位や同じ姿勢が続くと、股関節の前側(腸腰筋)や太もも前が硬くなり、立ち上がりの瞬間に骨盤が後ろへ傾いたまま動き出しやすくなります。すると股関節の前方に圧が集まり、「詰まる感じ」や痛みを生みやすくなります。反対に、お尻まわり(中殿筋・深層筋)がうまく働かないと、歩行時の体重移動が不安定になり、股関節の内側や外側に負荷が片寄りやすくなります。
2) 姿勢(体の歪み)と体の使い方
猫背で骨盤が後傾したまま立つ・歩く、膝が内側に入りやすい(内股傾向)、足のアーチがつぶれ気味――こうした“姿勢のクセ”は股関節の関節面に偏ったストレスを生みがちです。立ち上がりでは「上体を先に前へ→股関節を伸ばす」の順番が崩れ、股関節前への押し込みが強くなることもあります。
3) 年齢・体型・生活習慣の影響
50代では、ホルモン変化や活動量の低下で筋量が減り、回復が追いつきにくくなることがあります。デスクワークで座り時間が長い、介護や販売で立ちっぱなし/前かがみが多い、夜勤で生活リズムが乱れやすい――といった職業特有の負荷も痛みを長引かせる要因になります。
4) 器質的変化への不安について
X線などで「股関節変形」を指摘される方もいますが、画像所見の有無と痛みの強さは必ずしも一致しません。痛みは、組織のこわばり・姿勢・使い方・回復状態など複数要因の影響を受けます。強い腫れや夜間痛、発熱、急な可動域制限、歩行困難などがある場合は、整形外科での評価をおすすめします(ここでは病名の断定は行いません)。
放置リスクと誤解の解消
痛みが出る→かばって動かない→こわばりが進む→さらに痛みが出る、というサイクルに入ると、日常動作がますます負担に感じられます。怖さから「小さく・速く・浅い」動かし方がクセになり、股関節や腰、膝への負担が連鎖することもあります。
よくある誤解をやさしく整理します。
- 「骨盤を一度で“リセット”すれば解決する」:体は毎日の姿勢・睡眠・栄養・ストレス・運動量の影響を受け続けます。瞬間的な変化はあっても、安定には“積み重ね”が必要です。
- 「ストレッチだけで必ず良くなる」:伸ばすことは大切ですが、立ち上がり方・歩き方・座り方といった使い方の調整や、負荷と休息のバランスも同じくらい大切です。
- 「痛みを我慢して動けば慣れる」:過敏期に無理をすると長引くことがあります。段階的な負荷調整が回復への近道です。 当院では、バキバキする矯正や“その場かぎり”の強いもみほぐしは行わず、神経の反射を活用した優しい施術で、体が自分で整う働きを後押しします。必要に応じて医療機関とも連携します。
自分でできる対処法
痛みが強い日(10段階で3以上)や、はっきりした腫れ・熱感、夜間痛が強い場合は無理をせず休息や受診をご検討ください。道具いらずで短時間、ストレッチ+使い方をセットで行うのがポイントです。
- 〔朝:立ち上がり前の“股関節前ほぐし”〕 - 目的:腸腰筋のこわばりをやさしく緩め、一歩目の詰まり感を減らす。 - 手順:1) 椅子に浅く座り、骨盤を前後に小さく5回ゆらす(反らしすぎない)。2) 片膝を抱えて胸に軽く近づけ、20〜30秒×左右。3) 立ち上がる前に、足幅を肩幅、つま先は正面で深呼吸3回。 - 注意点:痛みが強くなる角度は避ける。呼吸を止めない。 - 所要時間目安:2〜3分。
- 〔日中:歩き出しを整える“お尻スイッチ”〕 - 目的:中殿筋などのお尻筋を軽く目覚めさせ、膝の内倒れ(内股)を抑えて股関節の負担を分散する。 - 手順:1) 立位で壁に手を添え、片脚立ち。軸脚の膝は軽く曲げる。2) 反対脚を横へ10〜15cmゆっくり開いて戻す×10回、左右交代。3) そのまま30〜60秒のゆっくり歩行を挟む。 - 注意点:骨盤を横に突き出さない。腰を反らせすぎない。 - 所要時間目安:3〜5分(家事や仕事の合間に)。
- 〔就寝前:股関節“伸ばし分け”ケア〕 - 目的:前(腸腰筋)と横(中殿筋〜外側)のこわばりを別々にゆるめ、翌朝のこわばりを軽減する。
- 手順:1) 片膝立ち(ランジの形)。前脚の膝は90度、後脚の股関節をやさしく前へ押し、股関節前を20〜30秒×左右。2) 横向きに寝て、上側の脚を軽く後ろへ引き、膝をわずかに外へ開く。お尻の横に“じんわり”伸びを20〜30秒×左右。
- 注意点:反動はつけない。しびれや鋭い痛みが出る角度は避ける。
- 所要時間目安:合計3〜5分。
※負荷の戻し方:歩行は痛みが翌日に残らない距離から始め、1〜2日ごとに5〜10分ずつ増やします。階段は手すりを使い、段差は小さく。立ち仕事は30〜60分ごとに1〜2分の体位変換を。
よくある質問(FAQ)
Q1. どのくらいの通院頻度が目安ですか?
A1. 状態により異なりますが、まずは週1回を2〜4週ほど。日常動作や睡眠、痛みの強さの変化を見ながら間隔を調整します。
Q2. 施術は痛くありませんか?
A2. 当院は「神経の反射を活用した優しい施術」を基本とし、バキバキする矯正や“その場かぎり”の強いもみほぐしは行いません。姿勢や歩き方のポイント、ストレッチも一緒に確認します。
Q3. 料金の目安は?
A3. 初回9,800円、2回目以降7,000円です(2025年11月時点)。
Q4. どんな人に向いていますか?
A4. 50代女性で、座り時間が長いデスクワークの方、介護・販売・保育など立ちっぱなしや前かがみが多い方、ウォーキングやフィットネスを再開したい方など。強い夜間痛、急な可動域制限、発熱や腫れがある場合は先に医療機関の受診をご案内します。
まとめ
- 立ち上がりや歩くと股関節が痛い背景には、こわばり・姿勢(体の歪み)・使い方・回復のタイミングが重なっていると考えられます。
- ストレッチに加え、立ち上がり方・歩き方の“使い方調整”をセットにすると、負担の片寄りを減らしやすくなります。
- 当院はやさしい施術とセルフケアの両輪で、無理のない日常復帰を一緒に目指します。できるところから一歩ずつ始めましょう。 お困りの方は 【電話】 または 【LINE公式】へ。インターネット予約も承ります。
【監修:柔道整復師 神田博行】
参考文献
- MSDマニュアル家庭版「変形性股関節症」/https://www.msdmanuals.com/ja-jp
- 日本整形外科学会「股関節の病気(変形性股関節症など)」患者向け解説/https://www.joa.or.jp/
- Cleveland Clinic “Hip Pain: Causes and Relief”/https://my.clevelandclinic.org/
- NHS UK “Hip pain”/https://www.nhs.uk/conditions/hip-pain/


