こんにちは。新潟市中央区弁天橋通のかんだ整骨院、院長の神田です。
「お尻から太もも裏がビリビリ痛い」「座って立ち上がる瞬間に電気が走るように痛む」――そんな坐骨神経痛でお困りではありませんか。秋は朝夕の冷え込みで筋がこわばりやすく、運動会やマラソン準備、行楽で歩く量も増え、症状を感じやすい時期です。
例えば、長時間のデスクワーク後に立ち上がるとお尻から太もも裏がジーンとしびれる、車の運転で同じ姿勢が続いたあとにビリッと痛む、介護や保育で前かがみや持ち上げ動作が続いた日の夜にズキズキする――こうしたご相談をよくいただきます。
日々のお仕事や家事・育児の中でよく頑張っておられますね。今日は、できるだけ専門語を避けて、原因とメカニズム、誤解されやすいポイント、自分でできる対処をお伝えします。
原因とメカニズム
「お尻から太もも裏がビリビリ痛い」状態は、一般に坐骨神経の通り道(お尻〜太もも裏〜ふくらはぎ)に負担が重なり、神経が刺激されやすくなることで起きると考えられます。坐骨神経自体に大きな異常がなくても、周囲の筋(特にお尻の深い筋)や関節、姿勢のクセ、体の歪み、冷え・疲労の蓄積など、いくつかの要素が合わさって“しびれ・痛み”として感じることがあります。
秋は気温が下がり、筋や腱が温まりにくい季節です。冷えていると筋は硬く、同じ姿勢が続いたり急に動いたりしたときに負担が集中します。たとえば、背中が丸い「猫背姿勢」のまま長時間座ると、骨盤が後ろに傾き、お尻の筋が緊張しやすくなります。そこへ立ち上がり動作や前かがみ動作(介護の持ち上げ、洗濯物かごの持ち運び等)が重なると、坐骨神経の周囲が一時的に過敏になり、ビリビリとした痛みを感じやすくなることがあります。
職業特有の負荷にも目を向けましょう。
- 介護・保育:前かがみ、持ち上げ、長時間の中腰で骨盤まわりの筋が疲れやすい。
- デスクワーク:座りっぱなしで股関節が固まり、立ち上がりや歩き出しに“ビリッ”と出やすい。
- 夜勤やシフト制:睡眠リズムが乱れると回復が追いつかず、筋のこわばりが取れにくい。
「坐骨神経痛=必ず椎間板ヘルニア」というわけではありません。多くは姿勢や筋のこわばり、体の使い方、冷えなど複合要因です。ただし、しびれがどんどん強くなる、足の力が入りにくい、排尿・排便が急におかしい、といった症状は別の原因が隠れていることもあるため、速やかに医療機関の受診をおすすめします。病名の断定はここでは行いません。一般的な仕組みのご説明にとどめ、必要時は受診をご提案します。
放置リスクと誤解の解消
痛みやしびれが出たり治まったりをくり返す状態を放置すると、「怖さ」を避けるための姿勢がクセになり、かえって負担が偏ることがあります。結果として、日常動作や仕事への集中力が落ち、回復のタイミングを逃すこともあります。
よくある誤解をやさしく整理します。
- 「骨盤を一度で“リセット”できれば治る」:体は日々の姿勢・睡眠・栄養・ストレス・運動量の影響を受け続けます。瞬間的な変化を感じても、安定には“積み重ね”が必要です。
- 「ストレッチさえすればOK」:伸ばすだけでなく、姿勢(座り姿勢・立ち姿勢)、体の使い方、休むタイミングも大切です。
- 「痛いのに我慢して動けば慣れる」:過敏な時期に無理をすると長引くことがあります。段階的に負荷を戻すことが大切です。
当院では、バキバキする矯正や“その場かぎり”のもみほぐしは行わず、神経の反射を活用したやさしい施術で、体が自分で整う働きを後押しします。必要に応じて医療機関とも連携し、無理のない改善を一緒に目指します。
自分でできる対処法
以下は道具いらず、短時間で取り組める内容です。痛みが強い日(10段階で3以上)や、ジンジンうずく・足に力が入りにくい等がある場合は無理をせず、休息や受診をご検討ください。
- 〔朝:座り姿勢の“土台づくり”リセット〕 - 目的:骨盤を軽く起こし、座位での猫背・反りすぎを避け、坐骨神経への負担を分散する。 - 手順:1) 椅子に浅く座り、両手で坐骨(座面に当たる骨)を見つける。2) 胸を張りすぎず、みぞおちをやや前へ。骨盤を「少しだけ前へ」傾ける→ニュートラルに戻すを5回。3) この姿勢で深呼吸3回。 - 注意点:反らせすぎて腰に詰まり感が出ない範囲で。背中は“伸びやかに”、首はすくめない。 - 所要時間目安:1〜2分。
- 〔日中:お尻の“こわばり”リリース+軽い歩行〕 - 目的:同一姿勢で固まったお尻の深層筋をゆるめ、血流を促してビリビリ感を和らげる。 - 手順:1) 立位で片足を軽く後ろに引き、体重を前足に7割。お尻の“ほっぺ”に手を添え、呼吸に合わせて10秒ゆっくり圧をかけて離す×左右各3回。2) その後、つま先をやや外に向けて1〜2分のゆっくり歩行。 - 注意点:強く押しすぎない。鋭い痛みやしびれが増す場合は中止。職場では壁や机に手を添えて転倒予防を。 - 所要時間目安:3〜5分。
- 〔就寝前:太もも裏とお尻を“伸ばし分ける”ストレッチ〕 - 目的:お尻(梨状筋など)と太もも裏(ハムストリングス)を別々に伸ばし、翌朝のこわばりを減らす。 - 手順:1) 仰向けで片膝を曲げ、反対側の胸に軽く近づけて20〜30秒(お尻の伸びを感じる)。2) 次に同じ脚を伸ばし、足裏にタオルを軽くかけて天井方向に持ち上げ、太もも裏を20〜30秒。左右それぞれ1〜2回。 - 注意点:反動はつけない。しびれが強くなる角度は避ける。呼吸を止めない。 - 所要時間目安:合計3〜5分。
※補足(負荷の戻し方):痛みが落ち着いてきたら、平地での5〜10分散歩から始め、翌日に痛みがぶり返さない範囲で1〜2分ずつ延長します。家事・仕事・運動は「翌日に残らない量」を目安に段階的に。
よくある質問(FAQ)
Q1. どのくらいの通院頻度が目安ですか? / A1. 症状や生活背景により異なりますが、まずは週1回を2〜4週ほど。日常動作や睡眠の状態、しびれの強さを見ながら間隔を調整します。
Q2. 施術は痛くありませんか? / A2. 当院は「神経の反射を活用した優しい施術」を基本とし、バキバキする矯正や“その場かぎり”の強いもみほぐしは行いません。姿勢や体の使い方、ストレッチも一緒に確認し、無理のない方法をご提案します。
Q3. 費用の目安は? / A3. 目安として、初回9,800円、2回目以降7,000円です(2025年11月時点)。詳細はご予約時にご確認ください。
Q4. どんな人に向いていますか? / A4. デスクワークで座り時間が長い方、介護・保育・製造や販売で前かがみや立ちっぱなしが多い方、夜勤で生活リズムが乱れやすい方、運動再開をめざす方など。痛みの範囲が広がる、足に力が入りにくい、排尿・排便の異常などがある場合は、まず医療機関の受診をご案内することがあります。
まとめ
- 「お尻から太もも裏がビリビリ痛い」背景には、姿勢・体の歪み・筋のこわばり・冷え・回復不足など複数要因が重なると考えられます。
- 秋は冷えと活動量の変化で出やすい季節。“姿勢の土台づくり”“こわばり解消”“伸ばし分け”の3本柱で、無理なく整えていきましょう。
- 当院はやさしい施術とセルフケアの両輪で、日常への復帰を段階的にサポートします。できるところから一歩ずつ始めていきましょう。
このブログをご覧になって、実際に実践されても思い通りではない場合は他に原因があるかもしれません。当院の治療がお役にっ立てるかもしれないので、遠慮なくご相談いただけたら思います。
【監修:柔道整復師 神田博行】
参考文献
- MSDマニュアル家庭版「坐骨神経痛(坐骨神経痛の概要)」/https://www.msdmanuals.com/ja-jp
- NHS UK “Sciatica”/https://www.nhs.uk/conditions/sciatica/
- Cleveland Clinic “Sciatica (Radiculopathy): Symptoms & Causes”/https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/12792-sciatica
- UpToDate “Sciatica: Clinical features and diagnosis”(要購読)/https://www.uptodate.com/


