こんにちは。新潟市中央区弁天橋通のかんだ整骨院、院長の神田です。
「走るとスネが痛む」ことでお困りではありませんか。秋は気温が下がり、体が温まりにくい一方で、マラソン大会や部活動の大会シーズンで走行距離が増えやすくなります。通勤前の朝ランや放課後のポイント練習のあと、スネの内側がズキズキしたり、階段の上り下りでジーンと響く――そんなお声をよく伺います。
毎日の仕事や学業の合間に時間をつくって練習されていること、本当におつかれさまです。今日は、いわゆるスポーツ障害の一つとして語られる「シンスプリント」にも配慮しながら、原因とメカニズム、誤解されやすい点、自分でできる対処を、できるだけ専門用語を使わずにお伝えします。
原因とメカニズム
「走るとスネが痛む」場所の多くは、スネの内側(脛骨の内側縁)です。ランニングでは着地のたびに、ふくらはぎの筋肉やスネの前側の筋肉が衝撃を受け止め、足首を安定させます。練習量が急に増えたり、フォームが崩れたり、靴や路面の条件が合っていないと、骨の表面を包む薄い膜(骨膜)やその周りの組織にストレスが重なり、痛みとして感じやすくなると考えられます。
秋は気温が低く、筋や腱が温まりにくい季節です。ウォームアップ不足のままスピード走や坂道ダッシュを行うと、筋がこわばった状態で着地衝撃を受け、負担がスネ周辺に集まりやすくなります。
また、姿勢や体の使い方も影響します。着地のときに体が後ろに残る「ブレーキ姿勢」や、上半身が過度に前傾するフォームは、スネの前側や内側への負担を増やしやすい傾向があります。デスクワークで股関節が固まりがちな方は、骨盤が立ちにくく、ランニング中に体の歪みが出やすくなることがあります。介護職など前かがみ・持ち上げ動作が多い方、夜勤で生活リズムが乱れがちな方も、回復が追いつかず痛みが長引くことがあります。
いわゆる「シンスプリント(脛骨の周りの組織がオーバーワークで痛みや張りを出す状態)」として説明されることもありますが、実際には疲労の蓄積、フォーム、路面、シューズ、ストレッチ不足など、いくつかの要素が重なって起きることが多いです。痛みが骨そのものの鋭い痛みに近い、押すと一点で強く響く、腫れや熱感が強い、休んでも悪化する――こうした場合は疲労骨折など別の原因の可能性もあるため、早めの受診をおすすめします。
放置リスクと誤解の解消
痛みが出たり引いたりをくり返す状態を放置すると、練習量を戻したときに再発しやすくなり、結果的にシーズンの計画が崩れてしまうことがあります。ただし、不安をあおる必要はありません。多くは「負担の総量」「準備不足」「回復のタイミング」を見直すことで、日常や練習に戻れる可能性があります。
よくある誤解の一つに、「骨盤を一度で“リセット”すれば走りは劇的に変わる」という期待があります。体の歪みや姿勢は、日々の動作や筋力バランス、睡眠・栄養・ストレスなど多くの要素の影響を受けます。瞬間的な変化を感じることはあっても、安定させるには、やさしいケアを積み重ねていくことが大切です。
当院では、バキバキする矯正や“その場かぎり”のもみほぐしではなく、神経の反射を活用したやさしい施術で、体が本来もつ調整力を引き出していくことを目指します。必要に応じて医療機関の受診もご提案します。
自分でできる対処法
以下は道具いらずでできるケアです。痛みが強い日(10段階で3以上)や、押して鋭く響く場合は無理をせず休息や受診を検討してください。
朝:ウォームアップを“温める+ほぐす”に分ける
– 目的:秋の冷えでこわばった筋をやさしく温め、着地時のブレーキを減らす。
– 手順:1) その場で足首を軽く上下(アンクルポンプ)30回。2) ふくらはぎを手のひらで包み、足首を回しながら10回ゆっくり。3) 直立してつま先立ち→ゆっくり下ろすを10回。呼吸は止めない。
– 注意点:反動をつけず「じわっ」と動かす。痛みが出る角度は避ける。寒い朝は靴下やレッグウォーマーで保温を。 - 所要時間目安:2〜3分。
日中:フォームの“ブレーキ”を減らす短いドリル
– 目的:ランニング時の接地をやわらかくし、スネ前側への負担を分散する。
– 手順:1) 立位で背筋をやさしく伸ばし、みぞおちを少し前へ(反らしすぎない)。2) 片足立ちで膝を軽く前に送る→かかとが床を“なでる”程度に体重移動、左右各10回。3) 余裕があれば30〜60秒の軽いスキップ。
– 注意点:腰を反らせすぎない。膝は突っ張らない。痛みが出たら中止。
– 所要時間目安:3〜5分(休憩中や昼休みに)。
就寝前:スネとふくらはぎの“伸ばし分け”
– 目的:前脛骨筋(スネ前)と腓腹筋・ヒラメ筋(ふくらはぎ)を別々にゆるめ、翌日の回復を助ける。
– 手順:1) 正座に近い姿勢で足の甲を床につけ、上体を軽く後ろへ(前脛骨筋をやさしく伸ばす)20〜30秒×1〜2回。2) 立位で壁に手をつき、前後に足を開く。後ろ足の膝を伸ばして20秒(腓腹筋)、軽く曲げて20秒(ヒラメ筋)。
– 注意点:しびれや鋭い痛みが出る角度は避ける。反動はつけない。寝る直前は深呼吸を合わせて副交感神経を促す。
s-所要時間目安:合計3〜5分。
※練習計画の見直しも大切です。距離や強度は「週あたり10%以内」の増加を目安にし、硬い路面や長い下りは連日続けないようにしましょう。シューズはかかとが極端にすり減ったら交換を検討してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. どのくらい通えばよいですか?
A1. 症状や背景によって異なりますが、まずは週1回を2〜4週ほど目安にし、痛みの強さや日常動作の変化を見ながら間隔を調整します。練習再開のタイミングは、歩行や階段の痛みが落ち着き、押しても強い痛みがない状態を一つの目安とします。
Q2. 施術は痛くありませんか?
A2. 当院は「神経の反射を活用した優しい施術」を基本としており、バキバキする矯正や“その場かぎり”の強いもみほぐしは行いません。必要に応じてセルフケアやフォームのポイントも一緒に確認します。
Q3. 料金の目安は?
A3. 目安として、初回は9,800円、2回目以降は7,000円です(2025年11月時点)。所要時間やメニュー、状況により変わる場合がありますので、詳細はご予約時にご確認ください。
Q4. どんな人が対象になりますか? /
A4. ランニング愛好家の方、部活動で走る機会が多い学生さん、介護職や立ち仕事・デスクワークで下肢に負担を感じやすい方など、年齢・性別を問わずご相談いただけます。痛みが強い、腫れ・熱感がある、押すと一点で激しく痛むなどの場合は、骨に異常がみちめられることがあります。まず医療機関での検査をおすすめすることがあります。
まとめ
- 走るとスネが痛む背景には、練習量・フォーム・季節要因(冷え)・回復不足など複数の要素が関わると考えられます。
- 不安をあおらず、準備(温める)・動き(ブレーキを減らす)・回復(伸ばし分け)を整えることが再発予防の近道です。
- 当院はやさしい施術とセルフケアの両輪で、無理のない復帰を一緒に目指します。まずはできる一歩から始めましょう。
【監修:柔道整復師 神田博行】
参考文献
- MSDマニュアル家庭版「シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)」/https://www.msdmanuals.com/ja-jp
- Cleveland Clinic. “Shin Splints (Medial Tibial Stress Syndrome).”/https://my.clevelandclinic.org
- 日本整形外科スポーツ医学会(JOSSM)「スポーツ障害の基礎情報」/https://www.jossm.or.jp/
- UpToDate. “Medial tibial stress syndrome (shin splints): Clinical presentation and management.”(要購読)/https://www.uptodate.com/


