こんにちは。新潟市中央区弁天橋通のかんだ整骨院、神田です。
「こめかみがズキズキして動くとつらい」「一方で、夕方になると頭全体が重だるい」——同じ頭痛でも、実は性質が異なることがあります。なかでも頻度の高いのが緊張型頭痛と片頭痛。血の巡り(血流)の乱れや首肩まわりのこわばり、日々の姿勢や生活リズム、天候・光・音など、きっかけは人それぞれです。
本記事では、両者の「見分けポイント」をやさしく解説し、体の歪みや生活動作との関係にも触れながら、今日からできる対処をお伝えします。医学的な断定は避け、根拠に基づく情報を、生活に落とし込める言葉でお届けします。
原因とメカニズム——“ズキズキ”と“ギューッ”は別の顔
まず大枠の特徴を、文章で整理します。
片頭痛は、月に数回〜週1回ほど「発作的」に起き、片側(ときに両側)で拍動性(ズキズキ)の痛み。中等度〜強い強さで、日常動作で増悪しやすく、吐き気や光・音・においに敏感になることが多いのが特徴です。発作は4〜72時間続くことがあります。国際的な診断基準(ICHD-3)や公的ガイドラインでも、このパターンが中心に示されています。
緊張型頭痛は、両側性の**圧迫・締め付け感(ギューッ、重い)**で、軽度〜中等度。日常動作で悪化しにくく、吐き気は目立ちません(あっても軽い)。長時間の同一姿勢や視作業、ストレスで首・側頭部の筋がこわばると生じやすく、慢性的に続くこともあります。これもICHD-3やガイドラインの定義に沿う理解です。
メカニズムをやさしくいうと、片頭痛は脳の痛みのセンサー(主に三叉神経)と血管反応、脳幹の過敏化など神経‐血管性の要素が絡み、緊張型頭痛は頭頚部筋の緊張増加や末梢からの入力が関与しやすい——そんな“成り立ちの違い”が、感じる痛み方の差につながります。いずれも「ここだけが原因」とは断定できず、睡眠・ストレス・姿勢・自律神経などの影響が重なって表れます。
放置リスクと“よくある誤解”のやさしい訂正
誤解①:強く揉めば治る
強いもみほぐしは一時的に楽でも、かえって筋の防御反射でこわばりが増すことがあります。まずはやさしい動きと呼吸で「力みを抜く」ことが出発点。
誤解②:骨盤を“リセット”すれば頭痛は消える
頭痛は頭頚部・脳の機序が中心です。全身のアライメント(体の歪み)を整えることは一助になりますが、「1回で完全に治る」といった過度の期待は禁物です。
誤解③:痛い日は完全安静
片頭痛の発作期は「静かな暗所で休む」工夫が役立つ一方、緊張型頭痛ではこまめに体を動かすほうが改善することも。タイプに応じた使い分けがポイントです。
なお、**命に関わる“危ない頭痛(セカンダリ)”**もあります。以下の“レッドフラッグ”に当てはまる場合は早めの医療機関受診をおすすめします。代表的なチェックは国際・国内のガイドラインでも提示されています(例:SNOOP/SNNOOP10)。
- 突然発症(雷鳴のような最大頭痛)/発熱や項部硬直を伴う/麻痺・ろれつなど神経症状を伴う
- 50歳以降に初発/がん・免疫不全の既往/外傷後/妊娠・産褥期
- 今までと違う性質・徐々に増悪する など。
自分でできる対処法——今日から少しずつ、やさしく整える
以下は道具いらずで実践しやすいものを厳選しました。無理のない範囲で行ってください。
A. 首・こめかみ“やわらぎ呼吸”ルーチン(目的:筋の力みをほどく)
手順:①椅子に浅く座り、背すじを軽く伸ばす(反らさない)。②鼻から4秒吸い、口から6秒吐く×5〜8呼吸。③吐く時に肩・あご・舌先の“余計な力”を抜く意識を。
注意点:痛みが増す刺激は避け、目を閉じて光刺激を減らすと片頭痛時に楽なことがあります。
所要時間:2〜3分。朝と就寝前、そして日中の小休止に。
B. 30–40分に一度の“姿勢リセット”(目的:緊張型頭痛の予防)
手順:①タイマーで間隔を管理。②立ち上がり、胸を開く→肩を後ろへ軽く回す→首を左右へ痛くない範囲で各3回。③画面距離と視線角度も調整。
注意点:日常動作で増悪しにくい痛み(緊張型)に有効なことが多い一方、片頭痛の発作ピーク時は無理に動かさず休息を優先。
所要時間:1〜2分。在宅勤務や受験勉強の合間に。
C. 頭痛ダイアリー+刺激のコントロール(目的:トリガー把握)
実践:発生日・時間・睡眠・食事・天候・月経・ストレス・カフェイン量・対処内容と効果をメモ。光・音・においや空腹、睡眠不足など、片頭痛トリガーの傾向が見えます。必要に応じて静かな暗所で休む/水分摂取/軽い甘味で低血糖予防などを組み合わせましょう。
注意点:カフェインは少量で助けになることもありますが、摂り過ぎは逆効果(依存・睡眠悪化・薬剤/カフェイン過多による頭痛の悪循環)に。夕方以降は控えめに。
よくある質問(
Q1. 費用はどのくらい?
当院は自費施術です。初回(カウンセリング・検査含む)9,800円、2回目以降7,000円の目安です。
Q2. どれくらいの頻度で通えばいい?
発作の頻度や生活負荷に合わせて、はじめは1〜2週間に1回、落ち着いてきたら月1回のメンテナンスを提案することが多いです。過度な期待(「1回ですべて解消」)は避け、ご自身の回復力を引き出す設計を一緒に考えます。
Q3. どんな人に向いていますか?
「強い刺激は苦手」「姿勢や生活リズムも整えたい」「予防まで含めて伴走してほしい」という方。神経の反射を活用したやさしい施術と動作アドバイスで、日常に“続けられる一歩”を作ります。
Q4. 受診の目安は?
先述のレッドフラッグ(突然の激痛、神経症状、発熱、外傷後、50歳以降の初発など)はまず医療機関へ。普段と違う頭痛が続く場合も、迷わずご相談ください。
まとめ——見分けて、整えて、無理なく続ける
- 片頭痛は拍動性・動くと悪化・吐き気/光音過敏を伴いやすく、緊張型頭痛は両側の締め付け感・日常動作で増悪しにくいのが目安です。
- タイプに応じて、休息環境の調整とこまめな姿勢リセットを使い分けましょう。
- 危ないサイン(SNOOP/SNNOOP10)に当てはまる場合は早めに受診を。
困りごとは一気に解決しようとせず、「今日は呼吸を3分」「仕事前に姿勢リセット」からで大丈夫です。小さな習慣の積み重ねが、明日の“楽さ”につながります。
【監修:柔道整復師 神田博行】
参考文献・ガイドライン
- National Institute for Health and Care Excellence (NICE). Headaches in over 12s: diagnosis and management (CG150, updated 2021). ガイドラインの適用範囲・診断・赤旗の考え方。
- International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (ICHD-3). Migraine の診断基準。
- International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (ICHD-3). Tension-type headache の診断基準。
- 日本医療機能評価機構 Minds. 慢性頭痛の診療ガイドライン 2021(日本頭痛学会)公開情報。
- Dodick DW. Diagnosing Secondary and Primary Headache Disorders. Continuum (AAN), 2021 — SNNOOP10を含むレッドフラッグの整理。

