こんにちは、かんだ整骨院の神田です。
「枕が合わない」「朝だけ肩がつらい」「横向きでないと眠れない」——枕の問題は、実は“枕そのもの”だけでは説明しきれないことが多いのです。
猫背・巻き肩・デスクワーク姿勢などで肩甲帯や胸郭の位置が崩れてしまうと、夜間に首や肩まわりへ負担がかかりやすくなります。私たちの身体は、日中の姿勢を記憶したまま寝る姿勢に入ってしまうからです。
当院では、神経の反射を活用した優しい施術で、過剰な筋緊張をゆるめつつ、日中姿勢と寝姿勢のギャップを整えるお手伝いをしています。ここでは、長年枕難民でいらっしゃったあなたに、ぜひ試していただきたい具体的なチェック方法とセルフケアをまとめました。
枕が「合っていない」かもしれないサイン
あなたは、朝起きた時に次のような経験はありませんか?
- 起床時の肩こり・首こりが強い: 日中よりも朝の不調が強い場合、それは寝姿勢での圧や角度に問題があることを示しているかもしれません。
- 後頭部や耳・顎の圧迫感、顔のむくみ: 枕と接触している面に偏りがあると、皮膚や筋膜の負担が増えやすくなります。朝、妙に後頭部や顎まわりが気になる方は要注意です。
- 手のしびれ・肩の重だるさが寝返りで変わる: 同じ姿勢が長く続くと神経や血流への影響が出ることがあり、枕の高さや硬さを見直すことが有効な場合があります。
- 夜間に何度も起きてしまう: 無意識のうちに、身体が「微調整」を求めているサインかもしれません。高さや支持点が合っていないことが背景にあることがあります。
$>$ ※これらは一例であり、原因を断定するものではありません。気になる症状が続く場合は、どうぞ早めにご相談くださいね
なぜ枕だけを替えても改善しにくいのか
新しい枕を買ったのに、すぐに合わなくなってしまった…。それは、枕のせいだけではないかもしれません。
1. 猫背・巻き肩で肩甲帯が前方化している 肩が前にすぼまっている(巻き肩)と、仰向けで寝た時に、後頭部を支えるための角度が変わってしまいます。そのため、枕が「高すぎる」「低すぎる」と感じやすくなってしまうのです。
2. 胸郭の硬さと呼吸の浅さ 胸のまわりが硬く、呼吸が浅くなっていると、首のカーブ(頸椎)だけで負担を受け止めやすくなります。この状態では、どんなに良い枕でも、首への負担を十分に分散させることが難しくなります。
3. 神経の反射による筋緊張の癖 ストレスや長時間の同一姿勢で、首や肩の筋肉が**“守りの緊張”**を続けていると、身体は枕の微妙な違いにも過敏に反応してしまいます。
枕選びはもちろん大切ですが、日中の姿勢・呼吸・筋緊張を同時に整えることで、はじめて身体がリラックスし、あなたにとって**“本当に合う枕”**が機能しやすくなるのです。
自宅でできる3つのセルフチェック
高価な枕を試す前に、まずはご自身の身体の状態と、枕の「仮合わせ」をしてみましょう。
1. 壁立ちテスト(姿勢の基準確認)
かかと・お尻・背中・後頭部を壁につけて立ってみてください。この時、腰に手のひら1枚分のすき間が空くのが理想です。もし後頭部が壁につかない、または顎が過度に上がってしまう場合は、普段から枕を“高く”しがちな可能性があります。その場合、胸を開くセルフケアを先に行うことが重要かもしれません。
2. タオルロールで高さ当て(枕の仮合わせ)
ご家庭にあるフェイスタオルを丸めて、枕の代わりに高さを微調整してみましょう。
- **仰向けでは、**顎が軽く引け、喉まわりが詰まらない高さを探します。
- **横向きでは、**鼻先・胸骨・臍(へそ)が一直線になるよう、肩幅分の“隙間”を埋める高さを探します。
3. 寝返りテスト(支持の連続性)
仰向け→横向き→反対の横向きをゆっくり繰り返してみてください。この時、首や肩に「引っかかり感」がないかを確認します。もし引っかかる場合は、枕の幅や表面の硬さが見直しの対象です。眠っている間に滑らかに体勢を変えられることが大切です。
※どれもあくまで目安です。違和感が強い場合は無理をせず、専門家へご相談くださいね。
肩こりをやわらげる「3分セルフケア」
就寝前の3分間で、首肩の緊張をリセットし、枕が合いやすい身体の状態を作りましょう。
1. 肩甲骨の呼吸(30〜60秒)
椅子に座り、胸を軽く開いて鼻から吸い、口からゆっくりと吐き出します。息を吐く時に、肩を「ふっと」落とす意識をしてみてください。呼吸に合わせて肩甲骨まわりが緩み、寝る前の過剰な緊張をリセットしやすくなります。
2. 胸郭ほぐし(1分)
両手を鎖骨の下に置き、円を描くように皮膚をやさしく動かします。皮膚や筋膜の「遊び」を出すことで、仰向けになった時の胸のつっぱり感が減りやすくなります。
3. 首の等尺性エクササイズ(各10秒×3回)
手で額・側頭部・後頭部を軽く押し返します。首は動かさず、ご自身の**「5割の力」**で力をキープしてください。関節を動かさずに筋肉を活性化できる、寝る前にも行いやすい安全な方法です。
※痛みが強い時や、かえって悪化する時は中止してください。体調に合わせて無理のない範囲でどうぞ。
よくある質問
Q1. 低反発・高反発、どちらが良いですか? どちらが“正解”というより、体型・寝姿勢・肩幅・胸郭の柔らかさで選びます。仰向け主体で後頭部が沈みやすい方は、首の支持が保てるやや“戻り”のある素材が合うことも。横向き主体で肩幅が広い方は、沈み込みで首が傾かないよう、高さを確保することが大切です。
Q2. オーダー枕なら必ず合いますか? 既製品より合わせやすい反面、日中姿勢が変われば合い方も変わるのが現実です。メンテナンスやご自身での微調整方法(タオルロールなど)を覚えておくと安心です。
Q3. どれくらいで慣れますか? 新しい枕は1〜2週間かけて様子を見るのが一般的です。ただし痛みが増す場合は無理せず見直しましょう。
まとめ

枕は“ゴール”ではなく、**“眠りを助ける道具”**です。日中の姿勢と夜の寝姿勢がつながることで、はじめて枕が本来の役割を果たしやすくなります。
合う枕探しに疲れた方こそ、身体の状態を整えながら微調整してみましょう。お一人おひとりに合わせて、無理のない方法をご提案します。どうぞ気軽にご相談ください。
【監修:柔道整復師 神田博行】


