こんにちは、新潟市中央区弁天橋通のかんだ整骨院、院長の神田です。
- 運動部に入ったばかりの中高生
- 健康のために運動したいデスクワーカー
- 休日に家で自重トレーニングを始めた方
最近運動を始めたトレーニング初心者の方から、よくいただく質問があります。
「筋トレって、上げるときと下げるとき、どっちが効いてるんですか?」
実はこれ、とても大事なポイントです。
やり方ひとつで「効き方」が大きく変わるんです!
今日は、腕立て伏せ・スクワット・腹筋・背筋といった「自重トレーニング」を例に、“上げる”動作(コンセントリック)と“下げる”動作(エキセントリック)の違いをわかりやすくご紹介します。
筋肉は「縮める」と「伸ばしながら耐える」両方の動きで使われている

筋トレの動作は、大きく2つに分かれます。
▶ 上げるときの動き(コンセントリック収縮)
筋肉が縮みながら力を発揮する動作です。
たとえば…
- 腕立て伏せ(胸のトレーニング):体を押し上げるとき
- スクワット(太ももの):しゃがんだ状態から立ち上がるとき
- 腹筋:仰向けから体を起こすとき
- 背筋:うつ伏せから上体を反らすとき
筋肉が「グッ」と収縮して働きます。
▶ 下げるときの動き(エキセントリック収縮)
筋肉が伸ばされながら力を出す動きです。
たとえば…
- 腕立て伏せ:体をゆっくり下ろすとき
- スクワット:しゃがんでいくとき
- 腹筋:起き上がった体をゆっくり戻すとき
- 背筋:反らした体をゆっくり下ろすとき
この「下げる動作」で筋肉は重力に引っ張られながらも、ブレーキをかけるように耐えているのです。
実は“下げる動作”の方が筋肉にはよく効く

多くの方は「重たいのを持ち上げる方がきつい=効いてる」と感じがちですが、実際には『下げる動作』エキセントリック収縮のほうが筋肉に強い刺激が入る**んです。ネガティブ動作とも言います。
どうして下げるほうが効くの?
重力に引っ張られる動きをブレーキをかけながら止めるため、筋肉はとても大きな力を発揮します。
この時、筋肉の繊維は引き伸ばされながら働くため、より深いレベルで刺激が入ります。
科学的にも「筋肥大(筋肉を大きくする)」や「筋力アップ」に効果的だと証明されています。
📊 研究でも証明されています
複数の論文レビューでは、下げる動作(エキセントリック)を丁寧に行った方が、筋力・筋肥大ともに効果が高いという結果が出ています。(引用例:Douglas et al., Sports Medicine 2017)
自重トレーニングで意識するだけで効き目アップ!
たとえば腕立て伏せ。
- 押し上げるときはスムーズに2秒でOK
- 下ろすときはゆっくり3〜4秒かけて
この「下げるときに耐える意識」だけで、効果はグッと上がります。
代表的な自重トレーニングでの意識ポイント

腕立て伏せ
- 上げる(コンセントリック):体を押し上げる
- 下げる(エキセントリック):胸が床に近づくまで3秒かけて
🔸 ポイント:お腹と背中を固めて、反動を使わずに下ろす
スクワット
- 上げる:しゃがんだ姿勢から立ち上がる
- 下げる:3秒かけてお尻を引くようにしゃがむ
🔸 ポイント:膝ではなく、お尻を後ろに引くように
💪 腹筋(クランチ)
- 上げる:体を丸めて起こす
- 下げる:背中をゆっくり床に戻す(特に大事)
🔸 ポイント:首ではなく、お腹で動かす意識を!
🧍♂️ 背筋(バックエクステンション)
- 上げる:上体を起こす
- 下げる:ゆっくりうつ伏せに戻す(2〜3秒)
🔸 ポイント:腰を反らせすぎず、肩甲骨を寄せるように
筋トレは「丁寧に効かせる」が最強の近道!
「せっかくやるなら、効率よく。しかもケガなく安全に」これが、私たちが皆さんに伝えたい筋トレの価値観です。
特に初心者の方や中高生は、重さや回数ではなく、“フォームと動作の質”を大切にしてください。
まとめ

なぜエキセントリック収縮は強いのか?それはブレーキ動作に必要な張力は高いからです。
- ブレーキには**「瞬間的に強い力」**が必要
- エキセントリック中、筋肉は収縮しながらも重力で引き伸ばされるため、筋繊維にかかる負荷が増加
- この状態では、少ないエネルギーで大きな力を発揮できる(効率が良い)
重力とネガティブ動作
観点 | 内容 |
---|---|
動きの方向 | 重力に沿って「下ろす」動作 |
筋肉の働き | 重力にブレーキをかけて制御する |
発揮される力 | 非常に大きい(高張力) |
生理的影響 | 筋繊維への刺激が強く、筋肥大・筋力向上に有効 |
動作 | 筋肉の働き | 役割 | 効果的に行うコツ |
---|---|---|---|
上げる(コンセントリック) | 縮みながら力を出す | 動きを作る | スムーズに2秒程度で動く |
下げる(エキセントリック) | 伸ばされながら力を出す | ブレーキをかける | ゆっくり3〜4秒で制御 |
エキセントリック収縮(いわゆるネガティブ動作)を意識することで、筋力の向上が期待できます。正しいフォームを意識しながら、無理なく楽しくトレーニングを続けていきましょう!
とはいえ、
- スクワットで腰や膝が痛くなる
- 腹筋で首が疲れてしまう
- 腕立て伏せで肩がつらい
といった症状が出る場合は、フォームの崩れや筋肉の使い方の誤解が原因かもしれません。
痛みが悪化する前に、一度プロによるチェックを受けてみることをおすすめします。
また、ポイントを意識して取り組んでいても腰や肩に痛みが出る場合は、筋肉だけでなく体の歪みが関係している可能性もあります。
そのようなときは、当院がお力になれるかもしれません。
お気軽にご相談くださいませ。
【監修:柔道整復師 神田博行】