こんにちは!新潟市中央区弁天橋通のかんだ整骨院、神田です。
先日、「サポーターをつけて安静にしているのに、3か月たってもまだ膝が痛む…。これって一生治らないのかな?」そんな不安の声を聞く機会がありました。
3ヶ月たっても思うようではないのはとても不安なことです。
この度のお話のように、スキー中に転倒し膝をひねったことで「内側側副靱帯(MCL)」を痛めるケースは少なくありません。
膝の関節を安定させスムーズな動きに寄与する靱帯は、なるべく早く回復させるに越したことはありません。とは言え、日々忙しい日々を過ごしたり、仕事や学校の環境では、傷んでいる箇所を休ませるのも難しいことがあります。
そこで、今回のブログでは、MCL損傷のしくみや治りにくい原因、そして早期回復に向けたセルフケアと当院で行っている専門的なアプローチについて、解説していきます。
捻挫とはどういう状態?

「捻挫」と聞くと軽いケガのように思われがちですが、実際は関節を支える靱帯が外力によって引き伸ばされたり、部分的に切れてしまっている状態です。このとき、靱帯の周囲にある毛細血管も傷つき、炎症による腫れや熱感、痛みが出てきます。
靱帯損傷には程度があります。ごく軽いものであれば数日で落ち着きます(治ったわけではない)が、部分的な断裂(中等度)では回復までに1~2か月(個人差あります)、完全に切れている場合は手術が必要になることもあります。
今回のように「靱帯が伸びている」と診断されたケースは、多くが中等度の損傷にあたります。
初期対応は「守ること」が中心

ケガをしてすぐの段階では、まずは炎症と痛みを抑えるための処置が必要です。アイシングをこまめに行い、圧迫や足を高くするなどの工夫を通して腫れをコントロールします。
整形外科では「RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)」が基本とされ、2~3日ほどは患部をなるべく動かさずに休ませます。さらに、膝を安定させるための固定として、サポーターや包帯も処方されることが多いでしょう。
この初期対応は非常に重要ですが、いつまでも安静を続けてしまうと、関節を支える筋肉が衰え、かえって治りが悪くなることがあります。
回復には「攻めのリハビリ」が必要

炎症がおさまってきたら、少しずつ動かしていく段階に入ります。ここからが「治す力を引き出すステップ」です。
最初は、寝た状態で痛みのない範囲で膝を曲げ伸ばしするところから始めます。違和感が減ってきたら、少しずつ体重をかけていきましょう。最初は30%、次に50%、そして完全に体重をかけても痛くないところまで段階的に進めていきます。
また、膝の内側を安定させるには、内ももや太ももの筋肉の強化がとても重要です。
痛みが出る寸前の角度で行う壁や手すりで支えながら行うスクワット、その先は自重で行えるスクワットや、タオルや100均に売っている柔らかいボールを内ももに挟んで、内ももを使うエクササイズなども有効です。
さらに、片足で立ってバランスを取る練習を取り入れると、関節の感覚や安定性を高めることができます。
大切なのは、MCLの痛みが完全になくなってから動かすのではなく、「MCLが痛くない範囲で、膝の運動に関係する筋肉をトレーニングする」ことです。
焦って無理に行うのではなく、徐々に刺激を入れていくことが重要です。
海外の論文でも
Phase 1(0-2週): 疼痛管理を優先しつつ、軽度の関節可動域訓練
Phase 2(2-6週): 痛み閾値の50-70%で筋力強化を実施
Phase 3(6週以降): 機能的な運動を痛み1-2/10の範囲で許可
と書かれています。
痛み許容基準の科学的根拠として、生体力学的研究によると、MCL修復過程で適度な張力がかかることで
• コラーゲン線維の整列が促進される
• 血管新生が活性化される
• 痛み閾値が3/10以下の負荷で細胞修復が加速※3
ただし、※3の警告では「4/10を超える疼痛持続は炎症再燃のリスク」と指摘されており、専門家のモニタリングが必要です。
また最新のメタ分析では、痛みを伴う運動を許容するグループの方が、完全安静群より回復期間が平均2.3週間短縮されたとの報告もされています。
攻めのリハビリが有効なのは科学的にも認められています。とは言え、ご自身ではこのさじ加減が難しいのも事実です。
3か月以上たっても痛いときは?

「もうこんなに時間が経っているのに…」と感じるときこそ、見直してほしい点があります。
痛みで動かすことが不安で、必要な運動が少なくなっている回復を妨げる原因になることがあります。その逆も然りで焦ってしまい、無理をしてフル荷重の運動を続けていると、靱帯の回復が追いつかなくなります。
また、ケガをかばうことで周囲の筋肉が硬くなっていたり、筋力が落ちているケースも少なくありません。そこで股関節や太ももの筋肉の柔軟性と強さを見直すことが、痛みを取り除くカギになることもあります。
それでも違和感が続く場合には、靱帯そのものが回復しきれず緩んでしまっていたり、半月板などの他の組織に損傷が隠れている可能性もあるため、医療資格のある我々柔道整復師による再診をおすすめします。
ご自宅でできるシンプルなケア
忙しい毎日でも続けやすいケアをいくつかご紹介します。
たとえば、お風呂の後に「温冷交代浴」を行うと血流が良くなり、疲労や痛みの回復に役立ちます。やり方は、膝を冷たいシャワーで60秒ほど冷やし、その後入浴します。これを数回繰り返します。
また、タオルやクッションを膝の間に挟んで内ももを軽く締めるエクササイズもおすすめ。これにより、膝の内側の安定感が高まります。

もうひとつ、仰向けになってお尻を持ち上げる「ヒップリフト」も効果的。お尻や体幹の筋肉を鍛えることで、膝への負担を減らすことができます。

当院での専門的なサポート

かんだ整骨院では、MCL損傷の回復を早めるために、いくつかの専門的な施術を組み合わせて行っています。
たとえば、筋膜や関節の滑りを改善する手技で可動域を広げたり、神経の反射を利用して筋肉の緊張をゆるめる方法も導入しています。また、動きを安定させるためのテーピングや、自宅でできる運動の指導も行いながら、再発を防ぐことにも力を入れています。
平均的には、6~8週で日常の痛みがなくなり、12週ほどでスポーツへの復帰が目指せることが多いですが、損傷の程度や体の状態によって個人差があります。
最後に
MCL損傷は、正しいタイミングでの安静と段階的なリハビリがうまく噛み合えば、ほとんどの場合しっかり回復します。
もし、
「なかなか痛みが取れない」
「ずっとサポーターに頼っている」
「いつ滑れるようになるのか不安」
そんな気持ちが少しでもあるなら、当院にご相談ください。あなたの「元の生活に戻りたい」「またスキーを楽しみたい」といった思いのお手伝いができるかも知れません。
いつでも、お気軽にご連絡ください。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
【監修:柔道整復師 神田博行】