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厚底?薄底?靴のソールと体のバランスの関係——姿勢と素足感覚の観点から

こんにちは。新潟市中央区弁天橋通のかんだ整骨院、神田です。

「ソールが厚い靴だと歩きやすいけれど、なんだか足裏の感覚が鈍い気がする」「薄底の靴だと地面を感じられるけれど、長く歩くと疲れる」——そんな経験はありませんか?

最近は“厚底スニーカー”がファッションとして定着する一方、“素足感覚シューズ”という言葉も注目されています。どちらも魅力がありますが、「体のバランス」や「姿勢」という視点で見ると、ソールの厚さが思いのほか大切な役割を果たしています。

当院にも「膝や腰が疲れやすい」「立っていると左右どちらかに傾く」といったお悩みを持つ方が多くいらっしゃいます。今日は、靴のソールと体のバランスの関係を、やさしく整理してみましょう。


目次

原因とメカニズム

厚底ソールの特徴

厚底の靴は、クッション性が高く、足への衝撃を吸収してくれるのが大きなメリットです。長時間の立ち仕事やコンクリートの上を歩くときなどには、膝・腰への負担を軽減しやすくなります。

ただし、ソールが厚い分だけ「地面からの情報(足裏感覚)」が伝わりにくくなる傾向があります。これはいわば、“柔らかい床の上で立っている”ような状態で、足首や体幹が微妙に揺れ続けることで、無意識のうちにバランスを取る筋肉(特にふくらはぎ・腸腰筋)が緊張しやすくなります。

この状態が続くと、姿勢の軸がずれたり、体の歪みを招くこともあります。


薄底ソールの特徴

一方、薄底シューズは足裏の感覚をつかみやすく、いわゆる素足感覚に近い動きができるのが特徴です。地面の傾きや硬さを感じ取りやすいことで、足の細かい筋肉(足底筋群)が自然に働き、体のバランス感覚を鍛えやすい利点があります。

ただし、クッション性が少ないため、硬い地面での長時間歩行や、すでに膝・腰に痛みがある方には負担がかかりやすい側面もあります。


ソール厚と自律神経・姿勢のつながり

足の裏には多くの感覚受容器があり、そこからの情報が脳へ伝わり、姿勢の制御や自律神経の反応に関わっています。ソールが厚すぎると感覚が遮断され、脳が姿勢の微調整をしづらくなり、交感神経が優位になりやすい傾向もあります。逆に、素足感覚に近い状態では足の情報が細かく伝わり、神経系が本来の働きをしやすくなります。

つまり、「どちらが正解」というより、体の状態や生活環境によって“最適な厚さ”が変わるのです。


放置リスクと誤解の解消

  • 「厚底の方が絶対に楽」は一概に言えません。柔らかすぎるソールは、かえって足の筋肉を使いにくくし、バランスを崩しやすくなります。
  • 「薄底ならトレーニングになる」も誤解です。急に薄底に切り替えると、足裏やふくらはぎに過剰な負担がかかり、腱や関節を痛めることがあります。
  • 「靴の中敷きを変えれば何でも解決」も注意が必要。インソールはサポートになりますが、根本的な体の使い方や姿勢の調整を伴わないと、本来の効果を発揮しづらいのです。

自分でできる対処法

A. 素足でバランスを感じる「足裏リセット」

目的: 足裏の感覚を取り戻し、脳と体のバランス感覚を再連携させる。

手順:

  1. フローリングの上で、素足で立ちます。
  2. 足裏の「かかと・親指・小指」の3点に意識を置き、体をゆっくり前後左右に揺らします。
  3. どの方向に重心が行きやすいかを感じ取ります。 注意点: 無理に姿勢を正そうとせず、「どこに重みを感じるか」を観察するだけでOKです。 所要時間: 約2分。

B. 靴選びの「厚みバランスチェック」

目的: ソールの厚さと自分の重心傾向の相性を確認。

手順:

  1. 厚底・薄底・普通の靴をそれぞれ履き、鏡の前で立ち姿をチェック。
  2. 頭が前に出る、腰が反る、肩が上がるなどの変化を感じます。
  3. 一番自然に呼吸できる姿勢が保てる厚さを基準に選びましょう。 注意点: 足の疲れが強い日は判断しにくいので、体調の良い日に行うと◎。 所要時間: 約10分。

C. 日中・夜のストレッチで“体の軸”を整える

目的: 靴による歪みを翌日に持ち越さない。

手順:

  1. 椅子に座り、両足首を回す(ゆっくり外回し・内回し各10回)。
  2. ふくらはぎを手のひらでさすりながら深呼吸。
  3. 就寝前、ベッドで仰向けになり、足首を交互に軽く倒す。 注意点: 呼吸を止めず、リラックスしながら行う。 所要時間: 3〜5分。

よくある質問

Q1. 厚底と薄底、どちらが体にいいですか?

A. 一概には言えません。長時間立つ・硬い床では厚底が、感覚トレーニングや短時間歩行では薄底が向くこともあります。大事なのは履き分けです。

Q2. ソールの厚い靴を履くと腰が痛いのはなぜ?

A. 厚底で足首の動きが制限されると、腰や膝が代わりに動いて負担が集中します。特に姿勢のクセがある方は、厚底の影響を受けやすい傾向です。

Q3. 素足感覚シューズを取り入れるコツは?

A. まずは室内や短時間から。急に長距離を歩くと筋肉痛や腱の炎症を起こしやすいので、段階的に慣らすことが大切です。

Q4. 当院の施術では何をするの?

A. 当院では、靴や姿勢のクセで生じた神経のアンバランスを整える目的で、神経反射を活用したやさしい施術を行います。体の歪みを整え、立ったときの安定感・バランス感覚を高めていきます。


まとめ

  1. ソールの厚さは「良し悪し」ではなく、「今の体の状態に合っているか」が大切。
  2. 厚底は衝撃吸収、薄底は感覚トレーニングと、それぞれの役割があります。
  3. 体の歪みや姿勢を整えることで、どんな靴でも自然に使いこなせる体を作れます。

歩くたびに感じる違和感は、靴だけでなく体からのメッセージかもしれません。無理なく整えながら、自分に合った“バランスの良い一歩”を見つけましょう。

【監修:柔道整復師 神田博行】


参考文献

  • 国立健康・栄養研究所「靴と歩行に関する研究」https://www.nibiohn.go.jp
  • 日本整形外科学会「足と歩行のバイオメカニクス」https://www.joa.or.jp
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「運動器の健康と姿勢」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp
  • 足病学会(Podiatry Association)「Footwear and Posture Balance」 https://www.apma.org
かんだ整骨院 神田博行
院長
1974年1月 旧新津市生まれ
・北信越柔整専門学校卒
・柔道整復師(厚生労働大臣免許第32245号)
・講道館柔道弐段
・TPI Lv.2メディカルプロフェッショナル(タイトリストパフォーマンス研究所)
・脳医学BASE研究会
・趣味 ロードバイク、食べ歩き、whisky・cognac・armagnac

『臨床経験26年以上の知識と経験で、あなたの健康に寄与いたします』

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〒950-0925 新潟県新潟市中央区弁天橋通1丁目4-33 湖南ビル102号
かんだ整骨院
電話番号 025−211−9541
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