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腰痛で“ある”ストレッチをしたら悪化してしまった。その原因と対処法

腰痛のケアとしてストレッチを行う方は多いと思います。当院でも、ホームケアとしてストレッチや腰痛体操を指導することがあります。

実際、ご自宅で適切に行うことで腰痛が緩和し、治療効果を高める助けにもなります。しかし、ストレッチのやり方を誤ると、かえって症状を悪化させてしまうこともあります。

せっかく頑張って行ったストレッチが逆効果で腰痛を悪化させてしまったら、とても悲しいですよね。

そこで、こうした事例が増えないよう、この記事では具体例をもとに注意点と対処法をお伝えします。

目次

実際の事例:腰痛とストレッチ

先日、「腰痛でストレッチをしたら、かえって腰痛が悪化してしまいました…」と初診で来院された患者さんがいらっしゃいました。

患者さんは、Yさん(20代女性)です。お仕事はデスクワークが中心の会社員で、普段から身体を動かすことがお好きだそうです。ウォーキングやYouTubeのヨガ動画を楽しむのが趣味とのことでした。

ところが、2か月前から仕事が忙しくなり、腰痛を感じるようになりました。

「身体を動かせば治るかな?」と思い、ウォーキングやストレッチを続けていたそうですが、症状は一向に改善しなかったそうです。

整形外科を受診したところ、レントゲン検査で「骨には問題なし」と診断され、「筋肉の問題ですね」とのことで、痛み止めと湿布を処方されました。しかし、薬で一時的に楽になるものの、時間が経つとまた痛みがぶり返し、「なぜ良くならないのか」と悩んでいたそうです。

その後、ご友人の紹介で当院に来院されました。

「身体も動かせないし、デスクワークもつらい。このまま腰痛が治らなかったらどうしよう…」と、不安を抱えていました。

さらに詳しくお話を伺うと、あるストレッチのやり方が原因で腰に負担をかけていたことが判明しました。

腰痛の発生原因とストレッチの影響

長時間の座りっぱなし

繁忙期の影響で、1日8時間以上座り続ける日々が続いていたそうです。このような状況が、腰痛の発生につながったと考えられます。

ヤンダ氏の研究(1987年)によると、長時間座り続けると腹筋やお尻の筋肉が緩み(長期的には弱化)、逆に背筋が過剰に緊張してしまうことが分かっています。これにより「反り腰」の状態が生じ、腰への負担が増していました。

誤ったストレッチの方法

腰痛が気に出して、ストレッチを始めたYさん。

問題となったのは、お尻をストレッチするやり方でした。
本来、このストレッチは「腰は捻らない」ことでお尻の筋肉を伸ばすものです。しかし、Yさんの場合、腰を捻る動きに加え、グイグイ反動を加えて行っていたため、腰に大きな負担がかかってしまっていました。

腰椎は前後の動きが得意ですが、捻る動きには適していません。本来、大きく捻る動きは胸椎や股関節が担うべきなのです。

この誤った動作が原因で、Yさんの腰痛は悪化したと考えられます。

ちなみに、このポーズのストレッチは、よく間違いを起こしやすいので、当院では患者さんに紹介しておりません。

正しい対処法 筋力強化

ヤンダ氏によると、弱化した筋肉に刺激を入れると、硬くなった筋肉の負担が減ると言っています。

そこで、長時間座り続けることで生じる腹筋とお尻の筋肉の強化をご紹介します。

1. ドローイン ドローイング(腹横筋の強化)

 1. 床やマットに仰向けに寝て、膝を曲げ、足を肩幅程度に開いて床に置く。
2. 腰が反りすぎないよう、軽く床につける(腰と床の間に手のひら1枚分のスペースがあるのが理想)。

呼吸を意識する

1. まず息をゆっくり吐きながら、下腹部をへこませる感覚でお腹を引き込む。

   「おへそを背骨に近づける」イメージで行う。

2. 吸うときもお腹を膨らませず、下腹部をへこんだ状態のままキープする。
3. 腹横筋を意識

腹筋の奥深くにある筋肉(腹横筋)が引き締まっている感覚を意識。
息を止めないよう注意しながら、この状態を10~20秒キープ。

繰り返し行う
1セット10回を目安に行い、慣れてきたらキープ時間を延ばすか、セット数を増やします。

・ポイント
最初は軽い力でOK。慣れてきたら徐々に強く引き締める。
腰が反らないよう、骨盤を安定させる。
呼吸を止めると体に負担がかかるので、必ず自然な呼吸を続ける。

・応用編
仰向けで行うのに慣れたら、四つん這いや座った姿勢、さらには立った状態でも実践してみましょう。
ドローインは腹部のインナーマッスルを鍛えるシンプルなエクササイズです。腰痛予防や姿勢改善に効果的です。

股関節を外に開く筋肉(中臀筋)

ヒップアブダクション

① 鍛えたい側のお尻を上にし、横向きで寝ます。

② 股関節を90°に曲げます。

③ 上側の脚全体を斜め後ろ方向に持ち上げます。

④ 3秒かけて持ち上げ、3秒かけて下ろしましょう。

左右15回3セットを繰り返します。

ポイント
① 脚は真上ではなく、斜め後ろに持ち上げる
② つま先は床へ向け、かかとから持ち上げていく

注意事項
腰や太ももの筋肉が疲れてしまう方は下の3つに注意しましょう
①反り腰にならない
②おへそは必ず前へ向け、天井へ向けない
③つま先を天井へ向けない

まとめ

この度の記事は、誤ったストレッチで腰痛を悪化させてしまった事例をもとに書かせていただきました。ストレッチは正しく行えば腰痛改善に効果的ですが、やり方を誤ると逆効果になることもあります。

特に「反り腰」や「長時間の座りっぱなし」による腰痛の場合、腰を無理に捻るストレッチは避け、ドローインやお尻の筋肉といった、弱ってしまった筋肉に刺激を入れる方法を取り入れることが重要です。

今回の記事を実践されても改善が見られない場合は、他に原因がありかもしれません。腰痛でお困りの方は、ぜひ専門家に相談し、適切なケアを行ってください。

当院でも治療のご相談をいつでも承っております。遠慮なくご相談いただけたら幸いです。

【監修:柔道整復師 神田博行】

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かんだ整骨院 神田博行
院長
1974年1月 旧新津市生まれ
・北信越柔整専門学校卒
・柔道整復師(厚生労働大臣免許第32245号)
・講道館柔道弐段
・TPI Lv.2メディカルプロフェッショナル(タイトリストパフォーマンス研究所)
・脳医学BASE研究会
・趣味 ロードバイク、食べ歩き、whisky・cognac・armagnac

『臨床経験26年以上の知識と経験で、あなたの健康に寄与いたします』

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