ホームローラーやテニスボールで筋膜リリース
久々のボーリングで、右の腰・お尻から太ももが痛くなりました。
YouTubeを見て、筋肉の痛はトリガーポイントが出来ていて、筋膜リリースが効果的と紹介されていたので、子供が使っているホームローラーとテニスボールを使って、痛みの強いところを『ゴリゴリ』と体重をかけてマッサージしました。
マッサージ中はとても痛かったんですが、早く治るには痛みがないと効かないのかな?と思って、耐えてやっていました。
翌日、実は痛が更に強くなってしまったのですが、これも治る経過と思い、また早く治りたいし、もっと強く『ゴリゴリ』と時間をかけました。
すると、翌日にはじっとしていても痛みがあり、歩くこともままならなくなってしまいました…
それは大変でしたね。『筋肉痛を緩和させる』とインターネットで調べると、ホームローラーやテニスボールを使って、筋肉をほぐすと出てきますからね。
早く治りたくて頑張ってケアされたのに、どうやら逆効果になってしまったようですね。
患者さんの筋肉は、熱っぽく・緊張して固くなって言いました。また、軽度の内出血も見られ、筋肉を痛めてしまい炎症を起こしている状態でした。
なぜここまで酷くなってしまったのでしょうか?
トリガーポイントとは?
トリガーポイントについて、主要な情報をまとめました。
- 定義:
トリガーポイントは、筋肉や筋膜内の過敏な部位で、圧迫すると局所的な痛みや関連痛(離れた部位への放散痛)を引き起こす点を指します。 - 特徴:
- 触診で硬結(こうけつ)として触知できる
- 圧迫すると局所的な痛みや離れた部位への放散痛が生じる
- 筋肉の機能障害や運動制限の原因となる可能性がある
- 発生原因:
- 過度の筋肉使用や不適切な姿勢
- 急性または慢性の筋肉の過負荷
- ストレスや疲労
- 栄養不足や代謝障害
- 関連する症状:
- 筋肉痛
- 関節可動域の制限
- 筋力低下
- 筋肉の硬直感
- 治療法:
- マッサージや徒手療法
- ストレッチング
- トリガーポイント注射
- 鍼治療
- 温熱療法や冷却療法
トリガーポイントのコントロールは、適切な姿勢の維持、定期的なストレッチ、適度な運動、ストレス管理などが予防に効果的とされています。効果や方法はさらなる研究と専門家の監修のもと行われることが推奨とも書かれていました。
筋膜リリースとは?
筋膜リリースを調べてみました。文献によると筋膜リリースは、筋肉を包む膜である筋膜のよじれやねじれを解消し、筋と筋膜の正しい伸長性と筋肉の動きの回復を促す技法です。主な特徴と効果は以下の通りです。
- 目的:
- 筋膜の癒着を解きほぐす
- 筋肉の柔軟性を向上させる
- 血液やリンパの循環を改善する
- 期待される効果:
- 関節可動域の拡大
- 姿勢の改善
- 筋肉のパフォーマンス向上
- 方法:
- マッサージや徒手療法
- ホームローラーなどの器具を使用
- 注射による方法(医療機関で実施)
- 特徴:
- ストレッチとは異なり、筋膜をさまざまな方向に解きほぐす
- 全身の組織を包む筋膜にアプローチする
- 安全性:
- 適切に行われれば比較的安全
- 生理食塩水を使用した注射は薬液による弊害が少ない
- 注意点:
- 過度な刺激は避ける
- 痛みを感じる場合は中止
- 症状が悪化する場合は医療機関に相談
筋膜リリースは、筋骨格系の問題改善に効果が期待できますが、その効果や長期的な安全性については更なる研究が必要とされています。専門家の指導のもとで行うことが推奨されます。
どちらの方法も、適切なやり方があるようです。
そもそも強い刺激のケアは身体に効果的なのか?
結論から申しますと、適切な器具の使い方やストレッチは問題ないですが、過度に強い刺激は筋肉の回復や機能回復に効果があるとは言えません。
痛みや関節の動きが悪い時は、炎症を伴っていることが考えられます。そこへ、筋肉に過度な圧力をかけると、筋肉や筋膜だけでなく、周囲の軟部組織にも損傷を与えることがあります。これが炎症をさらに引き起こす原因となります 。
火に油を注ぐとはまさにこの事です。
また、同じ部位に繰り返し強い刺激を与えることで、慢性的な炎症が発生することがあります。特に、組織が回復する前に再度圧力をかけることは避けるべきです
更に、強い圧力で神経を圧迫することで、神経の周囲に炎症が発生することがあります。これにより、痛みやしびれが生じる可能性があります 。
今回のご相談のケースは、ボーリングで痛めてしまった箇所に、器具を使って『ゴリゴリ』と強刺激で行った方法が筋肉を痛める結果となり、逆効果になってしまったようです。適切な方法でしたら、回復していたのかもしれません。
正しい筋膜リリースやトリガーポイントの注意点
では、適切な方法で行う筋膜リリースやトリガーポイントを行う上での注意点をお伝えします。
「気持ちいい」または「痛気持ちいい」程度の力加減が最も効果的とされていますので、過度に強い刺激は避けるべきです。器具の使用は個人の状態や症状によって異なりますので、自分の体の反応を注意深く観察しながら行うことが重要です。
最初は軽い力から始め、徐々に強度を上げていくことをオススメします。また強い痛みを感じる場合は、すぐに中止するべきと考えます。難しいところですが、適度な不快感は許容範囲ですが、激しい痛みは避けるべきです。
一箇所につき30秒から2分程度が一般的な目安とされていますが、個人の状態に応じて調整が必要です。運動を毎日行う方は、毎日ケアする場合もあるかもしれませんが、通常は筋肉の回復時間を考慮し、1-2日おきに行うことを推奨します。
特に初めて行う場合や、特定の症状がある場合は、専門家(医療資格を持った専門家)の指導を受けることが望ましいと考えます。
まとめ
トリガーポイントや筋膜リリースは、適切な方法で行われるとより良い効果がありますが、強すぎたり長時間行うことは、かえって弊害になってしまいます。心地よい刺激で短時間で終えることが効果的ですよね。
ホームケアで行う際の参考にしていただけたらと思います。
最後に、身体を痛めてしまったが自己判断がつかないときは、医療資格のある専門家にご相談した方が、結果早く回復するかもしれません。お近くの専門家にご相談されることもお勧めです。
【監修:柔道整復師 神田博行】