こんにちは。新潟市弁天橋通のかんだ整骨院、神田です。患者さんから「腰痛でコルセットやサポーターは使用したほうが良いですか?長く使っていると筋肉が弱るとも聞いてますし、TVではたくさんCMが流れてきて、どうして良いか分かりません」との声が多く聞かれます。
そこでコルセット・サポーターの記事を書かせていただきました。日頃から使用している方、これから使用をお考えの方、ご家族で使用されていて、心配されている方はぜひお読みください。
コルセット・サポーターをしていると筋力は落ちるのか?
複数の研究によると、腰痛へのコルセット使用の効果は、まだ明確に確定されていません。
Franz (2022) によると、腰痛に対するコルセットの使用は一概に効果があるとは言えないが、適切な診断と処方の下では効果が期待できるとされています。
また、Takasaki (2017) の研究では、1~6ヶ月間のコルセット使用が体幹の運動機能に悪影響を与えないことが示されていますが、参照された論文の質が低いため、今後の研究での検証が必要だと結論付けられています。
さらに、Rostami M. (2014) による研究では、健康な成人を対象に8週間コルセットを使用し、背骨を支える筋肉とお腹の外側の筋肉(腰部多裂筋と腹部外側の筋)の厚さを超音波で測定した結果、これらの筋肉の断面積が有意に減少したことが示されています。この研究では腰痛患者ではなく健常者を対象にしているため、体幹のインナーマッスルへの影響が示唆されています。
これらの研究結果を総合すると、腰痛治療におけるコルセットの使用が体幹筋力に及ぼす影響については、現時点で明確な結論は出ていません。しかし、インナーマッスル(腰部多裂筋や腹斜筋群)への影響の可能性があることから、コルセットの使用は適切な診断が重要であると言えます。
そのため、専門家から適切なアドバイスをもとにコルセットやサポーターを使用することをお勧めします。
コルセット・サポーターをこう考える
まず間違えてはいけないのは、背骨の圧迫骨折など、骨に明らかな損傷がある場合は専門医の指導を仰ぐことが最優先と考えます。骨折が癒えた後のコルセット・サポーターは、腰に負担の掛からない状態であれば積極的に外したほうがいい場合があります。
また、ぎっくり腰や重量物を持ち上げるや前屈みで腰に負担のかかる作業等の際など、短期的に使用するコルセット・サポーターは、腰部を安定させ、適切な姿勢を維持するのに助けとなり、痛みを軽減する効果が期待できます。
長期的なコルセット・サポータの使用は、サポートが仇となり筋肉が十分に働かなくなる可能性があります。
これは「使わなければ衰える」という原則に基づいています。これらに頼ることで、自然に使われるべき筋肉が十分に活動しなくなるため、長期的には筋力の低下や筋肉の不均衡を招く可能性があります。
特に腰部の筋肉は日常生活で重要な役割を果たしており、これらの筋肉が弱まると腰痛のリスクが高まることもあります。
筋力を維持し続けるための簡単なストレッチ
腰痛の予防と対策には、筋力を維持し強化することが非常に重要です。以下に、家庭で簡単にできるストレッチを紹介します。
- 腰回しストレッチ:
- 立った状態で、両足を肩幅に開きます。
- 両手を腰に当て、ゆっくりと腰を大きく円を描くように回します。
- 左右それぞれ10回ずつ行い、腰回りの筋肉を柔軟にし、血行を促進します。
- 膝抱えストレッチ:
- 背中をまっすぐにして床に仰向けになります。
- 片膝を胸に向かって引き寄せ、10秒程度キープした後、反対側も同様に行います。
- このストレッチは下半身の筋肉を伸ばし、腰への圧力を和らげます。
- 股関節ストレッチ:
- 椅子に座り、片足の足首を反対側の太ももに乗せます。
- 背筋を伸ばしながら、ゆっくりと前傾姿勢になり、太ももとお腹が近づくようにします。
- 各側10秒キープし、股関節周りの筋肉を柔らかくします。
まとめ
総合的な腰痛対策
腰痛対策としてコルセットやサポーターの使用は一時的な効果はあるものの、長期的な依存は避け、筋力維持のためのストレッチや運動を日常に取り入れることが重要です。
また、重い物の持ち方や姿勢にも注意し、体の負担を減らす工夫をすることも大切です。定期的な運動やストレッチは、腰痛予防だけでなく、全体的な健康維持にも寄与します。
体の状態に合わせた適切なストレッチや運動、日常生活の中での正しい姿勢の保持は、腰痛の予防と管理に役立ちます。健康な生活を送るためには、腰痛の早期対策と適切なケアが不可欠です。コルセットやサポーターを利用する場合も、これらの基本的な健康維持の原則を忘れずに、バランスの取れたアプローチを心がけていただけたら幸いです。
もしコルセットやサポーターが必要か分からない、コルセットを使っているけど、将来的には必要のない生活を送りたい。このようにお考えでしたら、私たち専門家にご相談いただくのも重要かもしれません。
【監修:柔道整復師 神田博行】